2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

松岡 健 『信州松本 赤ひげ先生心得帖』 ――志ある人生、そして志ある臨床

♦ 「世のため人のために志を持ち、祖父の意志を継いで良医になれ」 小学一年生の時に両親の離婚で辛い思いをしている自分を助けてくれた担任の教師から賜ったこの言葉こそは、「我が師の恩」である。――著者の松岡医師はそう語る。感動的な件りである。(なお…

三木清「語られざる哲学」(1919) (3) 「罪と悪、寂しみと悲しみ、それらは・・・秀れた魂が到り得る人生の本然においてでさえ見出されずにはいられないもののようである。」

♦前稿で触れたラッソの「ペトロの涙」であるが、私は特に最後の第21曲の詩に関して、イエスの怒りと悲しみは余りにも人間的であるという感想を抱いた。イエスは十字架上で次のように不平不満を吐くのである。 [最初の二行]・・・ pro te patior /・・・ p…